過労死防止学会第3回大会の概要
(報告の全文および討論の要点は2017年8月上旬までにこのホームページに掲載する予定です。会場風景の拡大写真は最下段のリンクをクリックして見てください。)
過労死防止学会第3回大会の概要
2017年5月20(土)~21日(日)、専修大学神田キャンパスにおいて、過労死防止学会第3回大会が開催されました。大会事務局の暫定的な集約では、参加者は初日が117名(会員84名、非会員33名)、2日目だけの参加者を合わせ、合計153名(会員92名、非会員61名)でした。
初日午後(13:00~17:00)の特別シンポジウム「若者に広がる過労自殺の要因と対策」では以下の3人の報告と2人の予定討論がありました。そのあと、1時間あまり、会場の出席者を交えて活発な質疑応答が行われました。
司会:黒田兼一(明治大学教授)、粥川裕平(かゆかわクリニック院長)
<報告者と演題>
川人 博(弁護士)「若者の過労自死事案の特徴と予防の課題」
広瀬俊雄(産業医)「医師・医学生対象の「過労死・過重労働」研修会を通じての予防活動について」
澤路毅彦(朝日新聞編集委員)「電通事件と若者の労働環境をめぐって」
<予定討論者>
久保直純(松山市新入職員、過労自殺事件家族)
今野晴貴(POSSE 代表、『ブラック企業』著者)
中沢 誠(東京新聞記者、『過労社会』著者)
2日目午前(9:30~12:00)は、あらかじめ設定した第1から第4までの分科会で、過労死・過労自殺の多い運送業、医療・介護、情報、教員の4業種を取り上げ、会員から報告希望にもとづいて第5分科会で長時間労働と労働時間管理の問題を特設しました。第4分科会では韓国からの報告がありました。各分科会の報告者と演題は以下のとおりです。参加者は分科会によってばらつきがありますが、総計で約100名でした。
第1分科会 道路貨物・旅客運送業の過重労働と過労死・過労自殺
司会:森岡孝二(関西大学名誉教授)
川村雅則(北海学園大学教授)「バス運転者の働き方と、研究上の課題」
松丸 正(弁護士)「過労死事案からみた道路貨物運動業の過重労働」
色部 祐(いの健東京センター)「タクシー会社の運行管理者の脳血管疾患についての検討」
第2分科会 医療・介護・福祉分野の労働実態と過労死・過労自殺
司会:中原のり子(過労死家族の会)
佐藤誠一(北海道いの健センター)「新卒看護師の過労自死事件から看護師の勤務改善 を考える」
杉山・安部・松田・大利(都庁職病院支部)「新人看護師の超勤実態と過労」
池田一慶(介護・保育ユニオン職員)「ケアワーカーの過重労働について〜介護保育ユニオンの現場から」
第3分科会 情報通信産業の長時間労働と過労死・過労自殺
司会:伍賀一道(金沢大学名誉教授)
西垣迪世・木谷晋輔(過労死家族の会)「富士通 SSL システムエンジニア過労死事件」
北野眞一(情報労連政策局長)「IT業界における長時間労働とその対策」
北 健一(ジャーナリスト、『電通事件』著者)「電通事件から見た広告産業」
第4分科会 教員と公務員の公務災害
司会:成瀬龍夫(滋賀大学名誉教授)
工藤祥子(東京家族の会)「公務災害制度に係る諸問題及び教師の働き方の現状と問題点」
尾崎正典会員(静岡家族の会)「教育現場における教諭の過労死防止の安全対策について」
木村和子(静岡、被災者家族)追加報告1、田村和男(大阪家族の会)追加報告 2
ガン・ミンジョン、韓国勤労福祉研究所)、オ・ビンナラ(法律事務所人情代表弁護士) 「韓国の公務員の過労死・過労自殺問題について」
第5分科会 長時間労働と職場の労働時間管理
司会:山縣宏寿(諏訪東京理科大学専任講師)
小森田龍生(専修大学講師)「労働者の抑うつ感情の規定要因に関する検討」
渡部あさみ(青森大学専任講師)「日本の労使は労働時間をいかに扱ってきたのか」
高田好章(基礎経済科学研究所所員)「派遣労働者の過重労働と労働時間についての一考察」
2日目午後(13:00~16:30)の共通論題では以下の3人の報告と2人の予定討論があり、会場出席者を交えた質疑応答では初日の特別シンポ同様に活発な議論がありました。
共通論題 「第 1 回『過労死白書』と調査研究から見えてくるもの」
司会:岩城 穣(弁護士)、寺西笑子(過労死家族の会)
<報告者と演題>
佐藤 靖夫(厚労省労働基準局総務課 過労死等防止対策企画官) 「平成 28 年版 過労死等防止対策白書の概要」
水野谷武志(北海学園大学教授) 「第1回過労死白書の総合的評価と批判」
長井偉訓(愛媛大学名誉教授)「過労死問題の研究動向と比較分析のための試論〜中国の現状と学会動向にふれて」
<予定討論者>
中野淑子(過労等防止対策協議会前委員、公務災害担当)
松浦 章(兵庫県立大学客員研究員、元損保労働者)