過労死防止学会

Japan Society for Karoshi Research

過労死防止学会第10回大会 開催概要をお知らせします

過労死防止学会第10回大会 開催概要をお知らせします(2024/4/10現在)

◇第10回大会の目的と概要について

2024年4月10日
代表幹事 長井偉訓

過労死家族の会や過労死弁護団をはじめ、研究者を含む自覚的な人びとの粘り強い運動が実って、2014年6月に「過労死等防止対策推進法」(過労死防止法)が成立し、11月に施行され、12月には過労死等の防止対策を効果的に推進するための「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を定めるべく、「過労死等防止対策推進協議会」がスタートしました。

 それにより、初めて過労死の総合的な調査研究が国の責任で行われることになった訳ですが、民間でも「過労死・過労自殺等に関する調査研究を行い、その成果を過労死の効果的な防止のための対策と取り組みに生かすこと」(「学会会則第2条」)を目的として、2015年に「過労死防止学会」が設立されました。

その目的を達成するための事業活動として、「学会会則第3条」は、「(1)全国大会、研究会等の開催、(2)教育・啓発活動の推進、(3)出版物の編集、刊行、(4)内外の学術団体との連携、交流、(5)その他本会の目的にとって必要な事業」を挙げています。
全国大会は、2015年5月23日、明治大学駿河台キャンパス・リバティタワーにおいて開催された「学会設立記念大会」を皮切りに、これまで毎年1回開催されてきました。
教育・啓発活動の推進では、過労死家族の会や過労死弁護団等と協力連携しながら、高校・専門学校・大学などにおいて過労死防止のための啓発授業を実施してきました。
出版物の編集・刊行では、2021年には『学会誌』を創設して、これまで研究成果を社会に発信してきました。
内外の学術団体との連携では、国内では日本産業衛生学会、日本うつ学会との共同シンポの開催、海外との連携では、フランス・韓国・中国の研究者を招聘し、過労死防止の国際シンポを開催してきました。
しかし、研究活動やその成果の海外への発信、教育・啓発活動の推進、そして政策提言という点では、その取組は十分とは言えず、更なる改善と努力が求められています。

そこで、学会活動の一つの節目となる第10回大会では、学会がこれまで取り組んできた過労死等を防止するための諸活動を振り返り、それを踏まえ今後どのように取り組んでいくのか、皆様と一緒に考えていきたいと考え、以下のような特別企画を設置することにしました。学会創設から学会活動をリードされてきた会員に総括的な記念講演を頂き、その上で、諸活動において中心的な役割を担ってこられた会員の方々に「・・・のこれまでとこれから」という視点からご報告をお願いし、パネルディスカッションを行う予定です。

◇過労死防止学会 第10回大会 開催概要

・開催日:2024年8月31日(土)・9月1日(日)
・大会会場 大阪経済大学   大阪市東淀川区大隅2-2-8
・日 程:8月31日(土)午前:分科会 午後:特別企画 総会 懇親会
     9月 1日(日)午前:分科会 午後:共通論題
※今大会では、特別企画・共通論題・総会のみ、オンライン配信いたします。
※なお、例年通り、分科会では広く会員の報告を募集します。
 分科会報告者募集は、別途お知らせします: https://www.jskr.net/2793/

◇特別企画:過労死防止学会活動のこれまでとこれから

座長:長井偉訓氏 討論者:粥川裕平氏 黒田兼一氏
記念講演:“過労死研究のこれまでとこれから”(仮題) 川人博氏
パネルディスカッション 
・「産業医学・公衆衛生学からの過労死研究のこれまでとこれから」(仮題)・天笠崇氏
・「過労死防止のための教育・啓発活動について」(仮題)・・・・工藤祥子氏
・「“過労死家族の会”と学会活動との関わりについて」(仮題)・・・・・寺西笑子氏
・「日本をモデルに過労死予防法制定を目指す韓国の動向」(仮題)・・・・脇田滋氏
・「『過労死防止学会誌』について」(仮題)・・・・高田好章氏

 また、これまでと同じように、次のような内容で共通論題を設定して、シンポジウムをおこないます。

◇共通論題:物流の「2024年問題」と働き方改革の課題〜過労死等防止の視点から

 2024年4月から自動車・貨物運送業、建設業、病院勤務の医師に対して、時間外労働の量的上限規制が導入されます。とくに自動車の運転業務に対して、年間時間外労働に960時間の上限設定がなされる他、「改善基準告示」(自動車運転者の労働時間等の改善のための法律)改正により、トラックドライバーの拘束時間の短縮と1日の休息時間(勤務間インターバル)が拡大されます。それに伴い物流の停滞による経済や我々の生活への深刻な影響が懸念されており、いわゆる「物流の2024年問題」です。この業界では、とくにトラックドライバーの脳・心臓疾患による労災請求件数並びに労災認定件数が最も多くなっています。なぜトラックドライバーの過労死等が多いのでしょうか? 共通論題では、この点に焦点を充てて、その原因や背景、とくにこの物流業界の構造、労働市場、トラックドライバーの労働と生活の実態等を分析し、トラックドライバーの過労死等を防止するという観点から、とくに労働組合にはどのような取り組みが求められるのかについて考えていきます。

座長 清山玲氏 討論者:川村雅則氏 渡部あさみ氏
第1報告:「トラックドライバーの健康障害と過労状態に関連する労働生活要因の検討」(仮題)・・・松元俊氏(労働安全衛生総合研究所研究員)
第2報告:「トラックドライバーの過労死等の事案について」(仮題)・・・岩城穣氏・
井上将宏氏・中西翔太郎氏(弁護士)
第3報告:「“物流の2024年問題”をどう捉えるか?」(仮題)・・矢野裕児氏(流通経済大学)
第4報告:「“物流の2024年問題”への労働組合の対応」(仮題)・・芦崎光夫氏(建交労関西支部特別執行委員)

以上、お知らせします、過労死防止学会・事務局